こんにちは。今回は「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)モノグラム モントルグイユPM」の修理事例をご紹介いたします。
長年ご愛用されているバッグの中でも、特に劣化しやすい部分である**持ち手(ハンドル)と持ち手付け根(付け根革)**の交換修理を行いました。

■ 修理前の状態
お預かりしたモントルグイユPMは、長年のご使用により持ち手のヌメ革部分にヒビ割れや変色が見られました。ヌメ革は使い込むほどに飴色へと変化し、経年変化(エイジング)を楽しめる素材ですが、乾燥や摩擦、紫外線などの影響で徐々に劣化が進んでいきます。
今回のバッグでは、
持ち手全体に細かなヒビ割れや亀裂
乾燥による革の硬化
色のムラや黒ずみ
が確認できました。
さらに、持ち手の付け根部分も革がかなり弱っており、切れてはいないものの、今にも裂けそうな状態でした。持ち手を支える重要な箇所のため、このまま使用を続けると破損の恐れが高く、早めの修理が必要な状況でした。
■ 修理内容
今回は「持ち手の交換」と「持ち手付け根部分の交換」を行いました。
ただし、付け根周辺にある飾りのヌメ革パーツ(装飾部分)はまだ使用に問題がなかったため、こちらは再利用しています。
▶ ヌメ革と糸について
ルイ・ヴィトンの純正ヌメ革や純正糸は一般には入手ができません。そのため、修理では代替素材を使用して対応します。
今回使用したヌメ革は、オリジナルに極めて近い質感・色味・風合いのものを選定。縫製糸についても、オリジナルの色にできるだけ近づけるよう調整を行いました。
その結果、全体の雰囲気を損なわずに自然な仕上がりとなっています。新品のように目立つ違和感はなく、元々のモントルグイユPMの上品な印象をそのまま残すことができました。
■ 修理後の仕上がり
交換後の持ち手はしなやかで、手に馴染みやすい質感に仕上がっています。
新しいヌメ革はまだ明るいベージュ色をしていますが、使い込むうちに徐々に色が深まり、他のパーツとも自然に馴染んでいきます。
付け根部分も新しい革に交換したことで、強度が大幅に向上。日常使いでも安心してお使いいただける状態となりました。
見た目にも清潔感が戻り、全体の印象がぐっと若返った印象です。
■ ヌメ革修理のポイント
ヌメ革はとても繊細な素材で、水分・油分・日光などの影響を受けやすい特徴があります。
少しでも長持ちさせるために、以下のようなケアをおすすめしています。
定期的に革用保湿クリームを薄く塗る(ヌメ革用)
雨の日の使用を避ける(濡れた場合は早めに乾いた布で拭く)
直射日光の当たらない場所に保管する
長期保管時は通気性の良い袋や箱に入れる
これらを意識することで、ヌメ革特有の自然なエイジングを楽しみながら、美しい状態を長く保つことができます。
■ 修理をお考えの方へ
ルイ・ヴィトンのような高級ブランドバッグは、一度の修理で再び長く使えるのが大きな魅力です。
今回のように「持ち手のヒビ割れ」「付け根のぐらつき」などの初期症状の段階で修理に出すことで、バッグ全体の寿命を大きく延ばすことが可能です。
「そろそろ修理した方がいいかな?」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
劣化が進む前に適切な処置を行うことで、大切なバッグをこれからも長くご愛用いただけます。
■ まとめ
対象モデル:LOUIS VUITTON モノグラム モントルグイユPM
修理内容:持ち手交換・持ち手付け根交換(飾りヌメ革は再利用)
使用素材:オリジナルに近い代替ヌメ革・糸
仕上がり:自然な風合い・高強度で再生
持ち手や付け根はバッグの“命”とも言える重要な部分です。
今回のような修理を行うことで、また新たな気持ちで愛用いただけるようになります。
大切な思い出の詰まったバッグを、これからも末永くご使用ください。