革製品のバッグが色落ちしてしまった!!!そんな経験があるかと思います。
そんな時に考えるのは自分で直せるのか?もしくは専門業者に任せた方が良いのか?
今回は、自分で直すのと当店のような専門業者に任せるのは何が違うのかを少し書きたいと思います。
革製品の色落ち原因は何?
まず「色落ち」と言ってもどのようなトラブルなのかで修理方法も変わってくるかと思いますが、一般的に多いのが日焼けやメンテナンスの失敗などです。
革製品はとてもデリケートな素材ですので、直射日光に当たる所に長年放置していた時や、きちんと保管せずにラックに掛けたままだったりですと、紫外線による色落ちがあります。
また、大切にいつもメンテナンスをしていても、使うメンテナンス用品を間違えると色が落ちてしまったなんて事もあります。
雨に濡れてしまったので急いで表面をゴシゴシ拭いたら色も落ちてしまった!
そんな事もありますよね。
革製品は勿論色止めやコーティングをしてありますので色が落ちてしまう事のないように作られていますが、革製品の特長として「色が落ちやすい」のは取り扱い説明書などに書かれております。
市販の補修塗料で色落ち修理出来る?
これは出来る場合と出来ない場合があります。
どちらかと言えば狭い範囲をカバーするのには良いかもですが、広い範囲になると難しくなります。色ムラや均一に濡れていないと濃淡が出てしまうなど、試した事がある人は多いのではないでしょうか。
また、自分のバッグに合った補修クリームがあれば良いですが、多少でもズレていると他の部分との色ズレが目立ってしまいますので、いくつかの色を買って自分で混ぜ合わせて作るなど、難易度もそれなりに高いかと思います。
1つの色に5~6種類の色を使う事も当たり前のようにあり、それを考えるとご自身で補修クリームを買えば5~6種類は買わないと目指す色が作れない場合もあるかと思います。
大体、ベースの色を作るのに3~4種類の色、そして彩度を変える為に白と黒が必要になると考えれば5~6種類の色が必要ですよね?
色を例にすると、例えばこげ茶色のバッグ。ご自身のバッグと同じこげ茶があれば1色で足りますが、何か違う・・・となると、赤・黄色・白・黒くらいが別に必要になります。
ほんのちょっとの色落ちなので目立たなくなれば良いとお考えならば、これも有りかと。
あと「艶調整」です。
色は大体合っているけど、他の部分との艶が違う!なんて事もあります。
色々考えると、結局あれも必要。これも必要。
仮にそれで上手くいっても、それ以降使い道がない塗料や道具が残ってしまう・・・。
自分で直して愛着だけは増しますけどね。
専門業者に依頼すると色落ちは直る?
次に当店のような専門業者ですが、単純に色を塗るだけではなく、下処理や傷埋めなども行いますし、色止め(艶調整)も行います。トータルメンテナンスが出来ますので、少なからずご自身で修理するのとは別格です。
また、素材に合わせて使う塗料を変えたりと革に熟知しているからこそのメンテナンスになります。
確かにご自身で修理するのよりは高額になるかも知れませんが、それなりの理由はあると思います。
街のクリーニング屋さんでの革製品修理
前置きとして、全てを否定している訳ではありませんのでご理解下さい。
良く当店にも「財布をクリーニングして下さい」と言うご要望はあります。でも財布を見ると色落ちだったり傷だったりで「クリーニングしてもキレイになりませんよ?」と言うお答えをします。
そもそもの概念として、「クリーニング」と「染め直しや補色」は別物になります。
でもクリーニング屋さんで革製品もクリーニングでキレイになると書かれていたり、革製品の修理を受け付けているクリーニング屋さんもありますので、一般的にキレイにするがクリーニングとなってしまっている感じがあります。
クリーニングはあくまでも「汚れを落とす」「染みを落とす」事で、「染め直す」「補色する」とは違います。クリーニング屋さんでもシミなどは漂白して色が抜けた部分に色掛けする事はあると思いますが、これはこれでオプションかと思います。
なんでこんな事を書くかと言いますと、最近「クリーニング屋さんに出したら革バッグの色が落ちて戻ってきた」などの依頼が多く来るのです。クリーニング屋さんの実情は私も知りませんが、もしかして丸洗いしてる?なんて思う事もあり、ちょっと気を付けた方が良いのではと思ったからです。
革製品のバッグや財布はやはり専門店に依頼する方が良いのではないでしょうか・・・。
当店の革バッグ色落ち修理のご紹介
それでは当店で修理した革バッグについてご紹介となります。
バッグはFENDI(フェンディ)となり、色は黒ですが、間口の部分や四隅のスレがあり、全体的に黒っぽさが薄れているような状態です。ただ、大きな傷はほぼありません。
こちらを補色修理しますと、
こんな感じで黒さもはっきりとして、小さなスレ傷なども目立たなくなったかと思います。
革の表面にはシボ(革のシワ)があり、これが消えてしまう程の塗料を塗ってしまうと手触りが悪くなったり、部分的に艶が出てしまうなどありますので、ご自身で補色する場合は注意が必要ですね。
当店では手触りも注意しながら、スレて表皮がなくなってきている所は部分補修して表皮形成後に補色をするなど、極力修理痕が目立たないようにしております!
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今回はご自身での補修と専門店での補修の違いについて書きましたが、ご参考になればと思います。