エナメル製品の黄ばみや色移りなどにお困りの方へ、エナメルの染め直し修理をご紹介致します。
ご依頼品のバッグ情報とお悩み内容
今回ご依頼頂いたバッグの情報をお伝え致します。
【ブランド名】ルイヴィトン
【ライン名】ヴェルニ
【バッグ名】クラッチアナ
となります。
冒頭の写真でビフォーアフターが分かると思いますが、元々ベージュ系の色だったエナメルが経年劣化等で黄土色っぽく変化してしまっていますので、染め直しをご希望となります。
エナメルの染め直しとは?
革生活と同じような修理業者は多くありまして各店舗で言い回しが違いますし、お客様からお伝え頂いた内容でも様々な使われ方をしています。
染め直しで多いのは元の色に戻す修理となり、「色が落ちてしまったので染め直しをして欲しい」「色が変わったので染め直したい」などとなります。
また、近い言葉として染め替えもあります。
染め替えは「色に飽きたので別の色に染め変えて欲しい」「汚れが目立つので染め替えしたい」など別の色に変更する修理です。
ただ、これが混ざった使われ方もしていまして、「別の色に染め直しをしたい」と言った感じでも使われています。
当店では、染め直しと言う言葉は使っておらず、リカラーとカラーチェンジにしています。
リカラープランは元の色に近付ける修理、カラーチェンジプランは別の色に変更する修理です。
ご相談時に使い方を迷ってしまう方もいると思いますが、どの言い方でも伝わりますのであまり気にせずにお気軽にご相談下さい。
今回は、エナメル部分の染め直し(元の色に近付ける修理)をご希望ですので、黄土色に黄ばんでしまったエナメルを出来る限り元のベージュ色にしたいと思います。
染め直しは黒にしか出来ないと言われたけど可能?
ちょっと余談になってしまいますが、こちらも当店によくあるご質問の1つです。
「他店でエナメルは黒にする事しか出来ないって言われたけど元の色に戻す事が可能なのですか?」
答えは、
「可能です!」
過去の修理事例を見て頂いても分かると思いますが、革生活では黄ばみや色移り等で色が変わってしまったエナメル製品でも元の色に近付ける事が出来ます。
これは各修理店舗でどのように修理・修復しているかの違いとなり、それぞれが使用している補修塗料の違いでもあります。
色付けをする塗料として「染料」と「顔料」がありますが、染料は革に染み込ませる塗料で顔料は革の表面に付着する塗料です。
染料の特徴として、色を薄くする事は出来ない・染料に白はないので、濃くする事しか出来ない塗料で、色を入れれば入れるほど最終的には黒になります。
推測ではありますが、黒や濃い色にしか出来ないと言われている修理方法はエナメル素材が色を吸収してしまう特性を逆手にとってエナメルに染料を吸わせて色を変えてしまう修理をしています。
ただ、デメリットとしては染料を大量に吸わせてしまうとエナメル内部で色が固着せずにエナメル表面に浮き出てくる事もあります。
以前に参考ブログとしてご紹介しておりますのでご覧下さい。
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革生活では「顔料」を使ってエナメル修理をしております。こちらは革の表面に付着する塗料ですので、濃くするだけではなく薄くする事や白くする事も可能になります。
ただ、やはり耐久性や仕上がりも考慮しますと行き過ぎたカラーチェンジ(黒を白にするなど)はおススメしておりません。
クラッチアナの染め直し事例
それでは今回修理しましたヴェルニのクラッチアナをご紹介致します。
冒頭でも書きましたが、ご希望は元の色に近付ける染め直し修理をご希望です。
まずは修理前の写真をご覧下さい。
クラッチアナを染め直す前の写真
外側は完全に黄土色っぽいような変色をしていますが、蓋を開いた部分は若干元の色が残っていました。色移り等は全くない状態です。
クラッチアナを染め直し後の写真
少し写真映りが悪くて申し訳ないですが、各角度で色が違って見えるのは撮影時の光の加減となります。
このように革生活では元の色に近付ける染め直し修理が可能です。元の色に近付ければ内側の布地部分との違和感も出ませんのでおススメかなと思います。
エナメル染め直しのまとめ
エナメル製品で色が変わってしまって使わなくなってしまったバッグや財布をお持ちではないでしょうか?
色が変わってしまうのはエナメルの特性でもありますので完全に防ぐ事は出来ませんが、修理をすればまた使えるアイテムになりますので是非染め直し修理を検討してみてはどうでしょうか。
捨ててしまうのは簡単ではありますが、革製品は限りある資源を活用して作られていますので、長く使い続ける意識も大切かと思います。
多くの方に染め直し修理を知ってもらいたいと思います。
お気軽にご相談・ご依頼をお待ちしております。