今回は、
エナメルバッグにシミが付いてしまった!
こんなお悩みのご相談・ご依頼がありましたのでご紹介致します。
エナメルバッグにシミが出来た原因は?
エナメルの特性となりますが、エナメル素材は「色を吸収する」「色を吸着する」特性があります。
どういう事かと言いますと、保管時などで何か別の革製品や衣類など着色された物と密接していると、エナメル膜が密接している物から色を吸い上げてしまう事があります。
その時の状況や密接している物が何かにもよりますが、数時間~数日程度であれば特に変化は出ないと思いますが、数ヶ月の間ずっと密接していると起こり得る現象です。
例えばクローゼットに吊るしてバッグを保管している時に、エナメルバッグの横に別の革製品バッグを吊るしている時などに起こりやすいかと思います。
これはエナメル製品特有の現象となりますので、保管時などで他の物と密接しないようにする対策が必要となります。
シミが付かないようにするにはどうすれば良い?
エナメル製品にシミが付かないようにするには、「密接しないように保管する」の1点となります。
エナメル部分に接していなければ絶対にシミが付きません。
とは言え、袋に入れて密接しないようにして、さらに保管箱の中に入れておくのはあまり良くありません。
エナメル製品はデリケートな素材ですので、密閉された場所や風通しが悪い環境は好ましくないです。湿気を多く含んでしまうと別のトラブルが発生してしまいます。
エナメル製品に適した保管方法
まずエナメル製品の主な特性として、「色を吸収する」「黄変(黄ばみ」があります。
「色を吸収する」は、今回ご紹介している通りで密接を避ける事が必要です。
「黄変(黄ばみ)」は、温度・湿度・紫外線が影響します。温度や湿度が高くなる場所に放置しない事と、直射日光が長時間当たる場所は避けて下さい。
例えば、長時間車の中に放置するのも良くないですし、箱やクローゼットの中に入れたままも良くないです。
風通しが良く、日が当たらずに湿度や温度が上がったとしても抜ける場所が適しています。
どうしても箱やクローゼットに仕舞う必要がある場合は、1ヶ月に1回程度は外に出して日陰干しをする事が必要になります。
エナメルのシミは取り除く事が出来ません!
良くある質問ですが、冒頭のようなシミや色移りをしてしまった場合、
拭いても取る事は出来ません。
消しゴムを使っても取れません。
除光液を使っても取れません。
シミはエナメルの表面上にある訳ではなく、エナメルの内部に浸透してしまっているからです。
以前に図解付きでシミ(色移り)がどのように付いているのか説明をしていますので、エナメル製品の修理や修復についてを合わせてご覧下さい。
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参考エナメル製品(バッグ・財布・靴)の修理や修復について
革生活でのエナメル製品修理についてまとめましたのでご紹介したいと思います。 エナメル製品でトラブルが起こった時にご自身でメンテナンスや修理を試みたい方もいると思いますが、この内容を読んで頂き出来る出来 ...
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ちなみに除光液はエナメル膜を溶かしてしまうので絶対に使用しないで下さい。
エナメルバッグのシミを修理で解決!
それでは、当店で修理したバッグを写真にてご紹介となります。
シミ(色移り)は取り除く事は出来ませんが、再度色付けをしてエナメルコートしてあげる事で綺麗な状態に戻しております。
左側が修理前の写真で右側が修理後の写真となります。
今回ご紹介するバッグは、
【ブランド名】ルイ・ヴィトン
【ライン名】ヴェルニ
【バッグ名】ベッドフォード
【ブランドカラー】ペルル
となります。追加情報として、黒いシミがある事と全体的に黄変(黄ばみ)が出ています。
修理としては、元の色に近付ける事とシミを見えなくする事です。持ち手部分などのヌメ革やファスナー部分はそのままとなります。
エナメルバッグの修理前
エナメルバッグの修理後
このような仕上がりになります。
シミはバッグの至る所にありましたが、修理後の写真ではどれも全く分からないレベルになっているかと思います。
また、全体的な黄ばみについても解消されて元々の白い綺麗な色に生まれ変わっております。
エナメルバッグ修理のまとめ
今回は、元の色に近付ける「リカラープラン」にて修理を行いました。
これとは別に別の色に変更する修理として「カラーチェンジプラン」もございます。
修理したバッグにはかなり濃い黒のシミがありましたので、おススメとしては濃い色へのカラーチェンジプランかなと思います。
ただ、今回のようにリカラープランで元の色に戻せるのも当店の強みですので、是非参考にして下さい。
修理店により提案が違います
革生活では元の色に近付ける事も別の色に変更する事も可能です。
ですが、修理店によっては「黒にする事しか出来ない」「濃くする事しか出来ない」場合もございます。
これは修理方法の違いにはなりますが、お客様が修理店を選ぶ際のキーポイントとなります。
では、エナメルバッグのシミについてのご案内は以上となります。
同じような悩みやご相談があればお気軽にご連絡下さい。