エナメルの財布やバッグをお使いの方は多いと思いますが、「汚れ」で困っている方もいますよね!
何とか自分で落とす方法はないのかと考えるのですが、なかなか難しいのが現状です。
今回はそんな「エナメル財布の汚れ」について書きたいと思います。
エナメルの汚れは落とす事が出来るのか?
答えは「ほぼ無理」だと思います。
ほぼと書いたのは、例えば水性の物であれば多少付着したとしても直ぐに拭き取れば簡単に落す事が出来ると思います。
エナメルは普通の革とは違い、結構しっかりとしたコーティングですので多少の汚れは弾いてくれている場合があり、汚れた手で触ったとしても乾拭きや固く絞った布巾等で拭いてあげれば落ちる事があります。
なんだ!簡単に落ちるんだ!
と思っているかと思いますが、ここには落とし穴もあります。
エナメルの特性として「吸収しやすい」ので、しばらく放置していると吸収してしまい拭いても落ちない汚れとなってしまいます。
エナメルの表面に付着した汚れは誰でも簡単に落せますが、一度吸収してしまった汚れは落ちないとお考え下さい。消しゴムを使っても除光液を使っても洗剤を使っても落ちません!むしろエナメルを傷付けてしまいます。
エナメルにレシートが転写された!
財布ですのでレシートと一緒に保管する場合もあります。財布の中にレシートを入れておけば問題ありませんが、エナメルに密接してレシートを保管してしまうとレシートのインクがエナメルに転写されてしまいます。いわゆる「色移り」です。
他にも財布ではありませんが、エナメルバッグを他の革製品と一緒に保管していて少しでも密接していると、革製品の色がエナメルバッグに色移りしてしまいます。
これが上記で書いた「吸収しやすい」特性の怖い所です。
エナメルが日焼けする事もあるの?
汚れではないですが、これも多いご相談の1つです。
エナメルが日焼けして色が変わってしまったので直して欲しい・・・そんなご相談です。
これもエナメル塗料の特性でして、エナメルは「黄変」する塗料となります。簡単に言えば、「エナメルが劣化すると黄色くなりますよ」と言う事です。
実際日に当たって色が変わったと言うよりはエナメルが劣化して元々透明だったエナメル膜が黄色く変化してしまった為に「日焼けした」と思われているかと思います。
当店のエナメル財布修理について
汚れてしまったエナメル財布のご相談では「落とす事が出来ますか?」と聞かれますが、当店では「落とす事は出来ません」と言うご回答になります。
落とす事は出来ませんのでもう一度現在のエナメル膜の上に染め直し(色付け)をして、エナメルコートをする事で修理をしています。
ざっくり言えば隠している感じです。
また、エナメルへの部分的な汚れであったとしても、エナメルコートは1枚の膜のような感じですので部分補修は出来ません。エナメル部分全体が修理対象となります。
それと、色につきましてはブランドカラーを完全再現する事も出来ません。極力合わせるように調色をしておりますが、下地の色が違う事や使っている塗料も違いますのでご理解頂きたいと思います。
ルイヴィトンのエナメル財布修理をご紹介
それでは冒頭写真のエナメル財布を修理した事例をご紹介致します。
エナメル部分全体的に黒ずみのような汚れがあります。それと特性でも書きましたが黄変が進行していますので、元々ピンクベージュのような色合いですが、赤味がなくなり黄色っぽく見えています。
縁周りの黒ずみは、恐らくバッグ等の汚れがエナメルに吸収されてついていまして、財布の裏面には何かが転写されております。
ルイヴィトン ヴェルニ 財布 修理前 | ルイヴィトン ヴェルニ 財布 修理後 |
このような仕上がりになります。
少しわかりずらいかもですが、パールを含んだ色でしたので修理ではパール加工もしております。(※パール加工はオプションとなります。)
ブランドカラーは完全再現出来ませんが、このレベルでお直しが出来れば再び使える財布にはなったのではないでしょうか。
エナメル財布でも修理出来ない場合がございます
全てのエナメル財布が修理出来る訳ではございません。
代表的な物として、エナメルは大きく「本革エナメル」と「合皮エナメル」があります。修理可能なのは「本革エナメル」のみです。
合皮エナメルで作られた財布やバッグはお値段的にも安く、修理価格と釣り合わないですが、エナメルが剥がれてしまうと手の施しようがなくなってしまいますので修理不可とさせて頂いております。
あとはエナメルの剥がれを修理したい方も多いですが、財布の縁周りであれば何とか可能です。ですが、表面などは状況により不可となる場合があります。
一度、メールかLINEにて現状の写真を拝見させて頂き修理可否含めてご回答をしておりますので、お気軽にご相談下さい。