革の鞄をお使いの方で「表面の色が落ちた」「何かのシミが付いてしまった」「鞄の色が服に付いた」などのトラブルを経験しておりませんか?
今回はそのようなお悩みの方に向けて革生活での修理をご案内致します。
ケース1 革の表面にシミや汚れの跡
写真のように革の表面に付着したシミのような跡が残るケースがあります。
シミの原因は、
- 食べ物のシミ
- 雨水(雨のシミ)
- 化粧品等をこぼしてしまった
- アルコール(コロナ過での消毒液)
など様々ありますが、こぼした時に気付いていなければくっきりと跡が残ってしまう事もありますし、すぐ気付いて拭き取ったけれど後からシミが出てくる場合もあります。
革は水分が大敵ですので是非気を付けて頂きたいですが、このようなシミや跡でもリカラー(染め直し・補色・色付け)をする事でシミや跡は綺麗に修理する事が可能です。
1点不安要素としては、革にダメージが出てしまった場合となります。
アルコール系は革の表面を侵してしまい、シミ跡がくぼんでしまう場合があります。このようなダメージが出てしまうと色艶は復元出来るのですが、くぼみは残ってしまいます。
写真のバッグは今回修理したバッグですので、後半に修理事例としてご紹介致します。
ケース2 革の表面の色落ち
こちらも良くあるお悩みの1つです。
革製品は使用していくと「色落ち」が起こります。使い方次第で進行速度は変わっていくと思いますが、革の鞄は土台の革があり、その上に塗膜(色が付いた塗料)があり、さらにその上にコーティングで保護をしています。(ざっくりです。)
経年劣化や紫外線等により色が変化する場合と、表面のコーティングが弱くなり色が落ちる場合があります。
どちらかと言えば、使用していくと鞄が何処かにスレてしまったり、良く触る部分はコーティングがどんどんと薄くなっていき、やがて塗膜層まで達すると色が落ちていくイメージです。
ラウンドファスナーの財布ですと、ファスナーを開く為に持つ部分が色落ちするのも同じ事です。
多くの革製品は表面をコーティングして守られている為、このコーティングが弱くなってしまうとトラブルが起こりやすくなります。
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こちらの参考ブログは鞄ではないですが、スマホケースの修理事例となります。スマホケースも良く手で触る部分が色落ちを起こします。
コーティングが薄くなると革にとっては良くない事ですので、早めの修理をおススメ致します。
ケース3 服への色移り
特に困ってしまうのがこのケースです。
バッグの色が服に付いてしまう事ですが、これはケース2でも書きましたようにコーティングがない状態や薄い状態で使用していると塗膜がむき出しの状態で使っている事になりますので色が落ちて服に付着したり、鞄自体も色が落ちてしまう事になります。
もう1つは革に水分が含まれた場合です。
雨で鞄が濡れてしまうと最初の方にも書きましたが、水分は革にとって大敵なので色移りをしてしまう場合があります。これは新品の鞄でも起こりますので十分注意して下さい。
雨が降りそうな天気の場合は革の鞄は使わないのが良いですし、微妙な天気の時には念のため前日に撥水スプレー(革用)をしておくなどの対策が必要です。
防水・撥水スプレーについて
市販されている防水・撥水スプレーですが、革の鞄には必ず「革用」のスプレーを使用して下さい。
また、多くの商品はそれ程持続効果がありませんので、出来れば使用する前日にスプレーしておくのが望ましいです。
但し、撥水スプレーをしたからと言って雨に濡れても良い訳ではございませんのでご注意下さい。
革生活のリカラー修理をご紹介
それではケース1で紹介しました革の鞄の写真ですが、この鞄をリカラーしましたのでご紹介致します。
ちなみに革生活では「リカラー」と書きますし、修理のご提案時にも書いていますが、リカラーは「染め直し」「補色」「元の色にする」全て同じ意味合いとなります。
リカラー・・・元の色に戻す(近付ける)修理
カラーチェンジ・・・別の色に変更する修理
となります。
では、修理前の鞄の状態です。
何のシミなのかは分かりませんが、黒い鞄に白いシミなのでかなり目立ちます。
後は底の角スレもありましたので、こちらも一緒に修理となりました。
修理後はこのようになります。
このようなしっかりとシミの跡は分からなくなります。
底の角スレも綺麗に補修をしております。(少し光の加減で見えにくいですが)
まとめ
革の鞄は水分には気を付ける事。万が一付着した場合は直ぐに拭き取って日陰で干してあげて下さい。
その際に鞄の形が変わらないように詰め物をしておくと良いです。
表面のコーティングが薄くなってきた時には専門店にご相談。(ご自身でコーティングするのはちょっと難しいです。)
「コーティングがない」「コーティングが薄くなった」の判断材料としては、固く絞った布巾で鞄を拭き上げて下さい。
問題のない鞄であれば付近に色が付く事はないと思います。(多少は付く可能性も有り。)
問題のある鞄ですと付近に鞄の色が結構付着してきます。そんな時はすぐ革生活にご相談です。
革の鞄の修理事例や気を付ける事をご紹介致しました。
ご参考になればと思います。