革製品は長年使っていると色がぼやけてきたり、くすんできたりしますよね。
色々な原因があると思いますが、スレや汚れの原因が多いかと思います。
汚れならば拭けば落ちる場合もありますが、長年放置した汚れは革に浸透してしまいいくら拭いても取れない(落ちない)場合もあります。
ですので、ゴシゴシと革の表面を擦る事は革へのダメージになってしまいますので注意が必要です。
修理で直ると言っても、色のぼやけた・くすんだ状態と擦って表面が傷付いてしまった状態では仕上がりも変わってきてしまいます。
良くあるご相談として、「もっとボロボロになってから修理に出した方が良いですか?」とのお問合せがありますが、新品を「100」として、「80」程度で依頼した物は「95~90」になるかも知れませんが、「30」になった物を依頼しても「95~90」のレベルまで仕上げる事は不可能な場合もあります。また、修理価格も変わってくる場合もありますので、革にダメージが残る前にご依頼頂いた方が良いかと思います。
財布のパイピング(縁巻き)を例にしますと、パイピングが破れてから修理をご依頼頂くより、破れる前にご依頼頂いた方が仕上がりは良くなります。また、破れていなければ当店修理オプションの「破れ補修」は不要ですが、破れていて補修希望であれば「破れ補修」オプションが必要となりますので修理価格も高くなってしまいます。
修理のご紹介は「ボッテガ」財布の染め直し
まずは修理前の写真をご紹介となります。
【症状】
・財布表面のスレ等による色あせ(黒がはっきりとしない)
・コバ割れや剥がれ
このような状態です。皮脂汚れによる感じではなくスレてと言った感じでしょうか。
次に修理後の写真となります。
このような仕上がりになります。
ちょっと並べて見ますと、
ボッテガ財布修理前 | ボッテガ財布修理後 |
補色をした事と艶も出しての仕上げですので黒さもはっきりした感じになりました。
ボッテガの財布は柔らかい素材なので質感重視で。
私も愛用しているボッテガの財布ですが、とても質感が柔らかく触り心地の良い物ですので質感を重視しております。
ここが施工者の腕の見せ所ではあると思いますが、塗料を多く吹く(塗る)と質感の変化が大きくなってきますので、極力最小限に抑えてキレイにするかどうかになります。かなり多くの塗料を塗れば細かい傷もなくなり黒さもはっきりしますが、仕上がりはのっぺりとした感じでいかにも塗りました!と思われてしまいます。当店では表面がない部分はピンポイントで表皮形成をしてまず土台をしっかりと綺麗にしてから最後に色付きの塗料を吹きかける程度で質感の変化を最低限に抑えてをモットーにしております。
そうは言っても状態によっては難しい面もありますが、少しでも工夫をしながら1点1点綺麗にしておりますので、何かあれば是非ご相談して頂ければと思います。