しばらく使っていなかったエナメルバッグを久しぶりに出してみると、こんな感じに黄ばんでいた!
そんなご相談が多くあります。
あとは、昔使っていたエナメルバッグや財布を娘が使いたいと言ったので久々に出してみると変色していた方や、日焼けして色が変わってしまったと言うお問合せもあります。
今回はエナメルの「黄ばみ」について書きたいと思います。
なぜエナメルバッグや財布は変色するのか?
まずエナメル革はどのようにして作られているかと言いますと、革の土台の上に色付けがされて、その上にエナメル膜でコーティングしてある革の事を言います。簡単に言えば3層で作られています。
一番下の層が革、2番目が塗膜(色付き)、3番目がエナメル膜
ちなみに、、、一番下が革ではなく樹脂や人工革の場合もありますが、これは「合皮エナメル」となります。
本革エナメルは高価ですが、合皮エナメルは安価です。また、合皮エナメルは当店では補修不可となります。
話が逸れてしまいましたが、この3番目の層であるエナメルは元々無色透明です。(一部色付きエナメルもあります。)
このエナメル塗料の特性として、「黄変」があり、劣化すると黄ばんでしまうのです。
ですので、経年劣化で次第に無色透明なエナメルが徐々に黄ばみが出てきて、元々の色から変化して見えてしまっているのです。
上記のバッグも元々はグレーかシルバーだった色が、エナメル膜の劣化により黄色っぽく見えてしまっています。
先程も書きましたが、これはエナメルの特性ですので防ぐ事も出来ません。
黄ばんだエナメルは落とせるの?
黄ばんでしまったエナメルは残念ながら拭いても市販のエナメルクリーナーを使っても落ちる事はありません。
要するに表面上の汚れではないからです。
ですので、よくあるお問合せに「この黄ばみは取れますか?」と言うご相談がありますが、残念ながら不可能なのです。
黄ばんだエナメルを修理は出来る?
当店では黄ばんだエナメルでも修理は可能です。
但し、黄ばみを取り除く事は出来ませんのでもう一度補色(染め直し)をしてあげる事で元に近い状態に戻したり、
カラーチェンジをして別の色にしたりしています。
ポイント
修理前と修理後を写真でご紹介しておりますので合わせてお読み下さい。
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黄ばんだエナメルバッグを修理してみました!
それでは今回修理したエナメルバッグをご紹介したいと思います。
修理品は冒頭写真のバッグですが、ルイヴィトンのスプリングストリートになります。
修理前はこちらです。
見事にゴールドのような状態になっておりますが、元々はシルバーグレーの「グリ」と言うブランドカラーかと思われます。
これがエナメル膜が透明な黄色になってしまった事で、見た目にはゴールドのような色に見えます。
それでは修理後の写真になります。
このような仕上がりになります。黄ばみもしっかりと解消されてまた使えるバッグに生まれ変わっているかと思います。
内側の染め直しや修理も出来る?
今回ご紹介したバッグではエナメル部分のみが修理対象となっております。
バッグの内側はそのままの状態です。ルイヴィトンのバッグでは内側に「合皮」が採用されている事が多いのですが、この合皮がかなり厄介でして、少しでも傷みがある場合は染め直し等の色付け修理は不可としております。今回のようにエナメル部分の修理だけであれば大丈夫です。
合皮が劣化していますと修理中に剥がれ等のリスクが非常に高くなるのが理由となります。
内側は特に気にしていない・綺麗なのでそのままで良いのであれば問題ありませんが、内側がボロボロなので修理して欲しいとなりますと張替え修理のご提案となります。
エナメルの黄ばみ修理については以上となります。
黄ばんでしまって使えなくなってしまったバッグや財布があれば、諦めずに是非ご相談して頂ければと思います!!!